Warumiの柱

「こころミュージアム」のキュレーター。Warumiの「こころの魔法」研究報告です☆

アドバイスの功罪

f:id:Warumi:20200730054708j:plain

例えば、何かがうまくいかなくて困っている、とか、どっちを選べばいいかわからなくて悩んでいる、とか。そんな時、欲しいものに「アドバイス」があるんじゃないかと思う。

自分では対処ができない、判断するのムリー!という時、適切なアドバイスをもらうことはとても助かる。迷っている時に「こうしたらいいんじゃないの?」と背中を押してもらうことで、空回りしていた自分の気持ちや、スタックしていた状況が動き出す。

今、このアドバイスというやつが、あらゆるところに溢れている。新聞や雑誌。何かの広告、フリーペーパー、そしてもちろんあらゆるネット上に、いちにちとして「アドバイス」を見ない日はない。

それは効率的な仕事の方法だったり、お金の稼ぎ方だったり、恋人をゲットする方法だったり、ダイエットだったり、まあ、いろんなお悩みがあって、そのお悩みを解決すべく、その道の権威とされる人たちのアドバイスが日々、てんこ盛りである。

ある意味、こういった情報が安価に、または無料で手に入る時代というのはすごいなあと思う。以前にも書いたけれど、今、私たちがアクセスできる情報の量は数十年前とは比べ物にならない。なんともありがたい時代である。

お手軽でありがたいのだけれど、しかし、このお手軽にアクセスできるアドバイスの「罪/負」の側面について、思うことを書いておきたい。

まずひとつは、アドバイスはコントロールと表裏一体の側面がある、という点である。まずもって、アドバイスを受ける前提に「何かに悩んでいる自分」がいる。この悩んでいる、という状態は、外界からの情報にとても反応しやすくなっている。当たり前だけど、自分で処理できない何かに悩んでいるわけで、本人はその解決をしたいのだ。そこをめがけて「これが解決方法ですよ」と、解決方法が提示されたら。誰だって喜んでその方法に乗ってみたくなる。その悩み、そのものに悩んでいる場合には。

あなたをコントロールしたいという欲を持っている人にとって、悩みを抱えているあなた、というのは恰好のターゲットである。悩んでいる人にアドバイスをすれば、その人はアドバイス通りに行動してくれるかもしれない。悩んでいる人が何かのサービスや商品に多額のお金を払ったり、何かの教えに従ってくれる。古典的だけど、でも、毎日こういった事例は枚挙に暇がない。

こういった例は、実は日常生活の中にたくさん存在しているように見える。例えば、自分の思う通りに子どもを育てたい親、教師、会社でやたらに口を出してくる先輩、上司。「あなた/お前のためを思って言うのだけれど」という言葉をもし耳にしたら、本当にお気を付け頂きたい。決めつけたくはないが、このように言ってくる人のアドバイスは、あなたを自分の思うようにしたいだけの体の良いコントロールでしかない、ということが往々にしてあるからだ。

そして多くの場合、このコントローラーは、自分がコントロールをしているということに気が付いていない。本当の善意とか、熱意とかから、自分があなたを導いてあげている、という神々しい使命感を感じておられるだけなのである。それが人をコントロールすることなのですよ、ということにお気付きでない。

それがコントロールかどうか見分けるのは実は簡単だ。あなたがそのアドバイス通りにしない場合の、そのコントローラーの反応を見れば一目瞭然。その通りにしないあなたにいら立ったり、圧をかけてくるような場合はその人はコントローラーである可能性が高い。その後あなたがそのアドバイス通りにしたら急にゴキゲンがよくなった、という場合、コントローラー確定!と言っても良いだろう。

コントローラー達は、あなたのお悩みが解決するということは二の次なのである。これがアドバイスの負の側面のひとつだ。彼らはとにかく自分の影響力を行使したい、それだけのモチベーションで行動する。だからこの手の人たちのアドバイスにはぜひ、ご注意を頂きたいところである。

もうひとつ、私がアドバイスに対して怖さを感じる側面がある。それは、そのアドバイスが、あなたの未来の行動を決めてしまう暗示となってしまうことがある点である。先ほどお伝えした通り、悩んでいる人はとても揺れやすく、無防備な状態であることが多い。そこに、ある意味鮮烈、的確なアドバイスがされた場合。恐らくアドバイスを受けた側は、納得してアドバイス通りの行動をとるだろう。まあそれが、言ってみればアドバイスの「功」の部分でもあり、それで問題が解決したり、進捗したりすると大変ありがたいわけである。

しかし、このアドバイスする側の影響力があまりにも強い場合。アドバイスに呪われるかのように、自分の人生がアドバイスを超えることが出来なくなる。どういうことかと言うと、そのアドバイスに自己暗示的に従ってしまい、その影響力を過剰に受けた結果、現実をそのアドバイス通りの展開に変える力を、人はどうやら持っているらしいのだ。

アドバイスをもらう→その通りになる→ますますアドバイスを信奉するスパイラルが現れる。アドバイス範囲内でしか物事を考えなくなる、他人軸の人生のはじまりだ。そのアドバイスはまるで麻薬のように効いて、自分の悩みを解決してくれるが故に、自分軸でものごとを考えることを放棄してしまう。かくしてあなたの人生は他人のアドバイス通りのものになっていく、というわけだ。アドバイスの言葉の持つ力を、過小評価しない方がいいかもしれない。特にあなたが憧れていたり、この人の言うことは絶対だと思う人からの言葉は、たいへん大きいパワーを持つのである。

アドバイスは時に、自分ではどうにも動かせない状況を変える魔法になる時もある。だからこそ、だけれど、その負の側面にも自覚的でありたい。

自覚的であるためのひとつの方法がある。それは、自分の悩みに対し「なぜ自分はこれに悩んでいるのか」という問いを持ち続けることだ。うまくいかないことを、うまくいかせたい、そのこころは一体何なのか。なぜ自分はそれをうまくいかせたいのか。恋人が出来ないという悩みを、自分はなぜ今抱えていて、なぜそれを解決したいと思っているのか。実は、お悩み解決以上にこの悩みの背景や、悩みの持つモチベーションを見つめる、という行為はあなたの人生にとても役に立つ。そして、人生の新しい意味をもたらしてくれるかもしれない。

悩みをきっかけに、自分がどんな人生を、どんな展開を望んでいるか、ということに思いを馳せる。そうやってあなたが、ご自身のお悩みに対峙することで、ああ、自分はこんなことを望んでいたのか!ということに気が付くかもしれない。そういった意味で、悩みというものは、自分の人生を展開していこうとする起爆剤となり得る。今、何かに悩んでいることがあれば、だけど、解決方法を探す前にその悩みそのものにも目を向けてみて頂けたらうれしいな、と思う次第である。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ご相談、はじめました。

あなたのぴったり、しっくりを見つけにいきませんか?

warumi.hatenadiary.com

お問い合わせはこちらのフォームからお願いします。

お問い合わせフォーム - Warumiの柱

あなたとお話しする日が楽しみです☆

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆