Warumiの柱

「こころミュージアム」のキュレーター。Warumiの「こころの魔法」研究報告です☆

「上から目線」で働いてみたらこうなった(その1)

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さてめでたく?こうやって「上から目線」の戦士が誕生!したわけですが、いやこれほんとに大変でね。。。日常生活なのに、甲冑つけて常に戦モードなわけですから、もうほんとにエネルギー消費量が半端ない。

そもそも「戦闘モードにせよ!」なんて自分に命令していないのに、勝手に戦闘モードになりっぱなしなんですよ。ってか、そういえばそれしか搭載してなかった~あはは~☆

さてこの「上から目線」。搭載していますとね、好むと好まざるを得ず、いろんな戦闘シーンに巻き込まれる?いや戦闘シーンを繰り広げることとなりました。特に社会人になってからは毎日が戦いの最前線にいるのと変わりませんでした。

私は大学卒業後に旅行会社に就職し、その後地方都市の支店に配属されました。その頃の支店は数十名程度が在籍していて、主に外に稼ぎに出ている男子チームと内勤の女子チーム(ま、ものすごく便宜上ね!)にわかれていました。私はその「男子チーム」に配属され、営業の仕事を担当することになりました。

当時の直属の上司は、顧客から超・超・人気のイケメンで、常に営業成績もトップクラスの方でした。あろうことか、Warumiはその上司が担当していた顧客をいくつか引き継ぐことになったのです。

最初のうちはよかったんです。引継ぎということで、その上司の方と一緒にご挨拶に行った時は、お客さまはみんな「イケメンさん(便宜上)にはお世話になったからこれからもよろしくね」なんてにこにこでね。はいっ☆なんてこちらも初々しくご挨拶なんてしちゃってたわけです。

しかし実際の仕事が始まると状況は一変しました。なぜって、すぐ勝ちにいくためです。

まず勝つためには、セールス先での戦闘能力その1(場を俯瞰で見通す)をフル稼働させました。稼働率300%超?もう酸欠でくらくら!

ところでみなさん、ご家族で旅行に行かれる時はどうやって行き先とか決めていらっしゃいます?私が旅行会社にいた時には、旅行のお申込みって意外と「ここに行きましょう♪(主に奥様)」「。。。私が払います(主にご主人)」ていう構図が多かったですね。今はどうなんでしょう!?

もとい、これが会社相手となりますとね。旅行プランニングから催行までにはあらゆる方が係わってくださいます。会社組織の場合、旅行が社員の慰安目的(これ重要!気が利かない旅行プランを決めると、女性社員の顰蹙をかったりします)だったり、セールス優秀者の表彰目的だったり、その会社の顧客サービス目的だったりします。旅行費用だけでも相当の金額!その上、各セクションにまたがって企画される旅行も少なくありません。そのため、営業の窓口になる方、実際の決定権を持つ方、その方に影響が強い方、その反対勢力、新人セールスをからかってくださる方(ずいぶん和ませて頂きました。。)、その他大勢。Warumiものっけから、さまざまな方々と相見えることとなりました。

そしてそれだけの方々(敵)の情報収集が私にとっては急務となったのです。

まあね、ぼちぼちやっていけばよかったんですよ。ほんとはね。でも、私は小さいころから瞬時にミリ単位で人間関係を俯瞰視することに命をかけていました。よって、当然初動から相当の情報収集→情報インプットが必要!!最重要任務!!って思い込んでいました。どんな情報?ってこんな情報です。 

A:営業窓口の方:基本温和。アポはいつでもOK、でもお昼どきはちょっといやがる。いつもチョコレート食べてる。横の〇〇さんと仲良しみたい。長電話好き。子供がふたり?ひとりは生まれたばっかりらしい。旅行にあんまり興味はなくて、窓口はちょっといやいややってる感じ?高校生まで野球やってたらしい(けど、その話はこっちからしない方がいい)。北海道キライ(何かあった?)。Bには絶対服従。Dにものすごく気を遣ってる。

B:実際の決定権を持つ方:超ワンマン。会社の3代目でめっちゃお金持ち。即断即決の人だけど、決定をひっくり返すのも早い。ちょっと人情家。ちょっとでも気が乗らないと絶対ひとの話を聞こうとしない。「で、何しにきたの?」が口癖(怒ってるように見えるけど、からかわれてる?どっち!?)。実は妻には頭が上がらないらしい(妻は美人で10以上年下らしい)。スコッチテリアのらんちゃんを愛している。早朝出勤。午後はほとんどいない。3日前までにはアポ必須。

C:Bに影響力大の方:Bの義理の父親。存在感をあまり感じないが、旅行の決定には必ずかんでくるから注意。既に引退されているらしい?が会社によくいる(どうしてだろう?)。海外旅行好き。いつも旅のアルバムを持っていて旅の話をしようとしてくる。つかまったらミニマム40分拘束は必須。お酒も甘いものも両方好き。前回の旅行では旅館が気に入らずに、先輩がずいぶん怒られたらしい。アメ車好き。

D:B/C の反対勢力?:表面上はこにこしているけど、目が笑っていない。基本いつもスルーされる(私、きらわれた?)。どうやら他の出入りの旅行業者と仲良くしている様子(私、社内の派閥争いに使われちゃってる?)。Aに冷たいが、でもAの部署にいつもチョコレートを置いているのかこの人らしい(なんで?)。B/Cとは遠い親戚?らしい。

(以上は架空の情報ですので悪しからず)

ってキリがないからこのくらいにしますが、最低このくらいの情報を集めないと私は戦える気がしなかった。こういった情報なしでは、丸腰で戦地の最前線に立たされているも同然です。あぶないじゃん!!自分の中に情報がインプットされておらず、分析しきれていない情報が自分の外を飛び回っている様は、泣きたくなるくらいサイアクでした。

で、まあ一応の情報収集が一段落した、と。お次は、そのひとりひとりのバックグラウンドと傾向を掴んだうえで、この人たちの人間関係を俯瞰する番です。だからその前に正しい個人の情報把握が必要なわけです。情報を誤ると、作戦も違っちゃうからね!それは、将棋盤?を上から見てる感じですかね?(ごめんなさい、将棋やらないから知らないけど)。その将棋盤もAとBしかいないとき、Cが加わった時、AとDがいてBが突然入ってきたとき、って相当バラエティがあって、でも俯瞰してる私が全部勝ちに行く!という(どんなルール?)妄想に取りつかれてましたね。

今こうやって書いていても、そこまで必要だった??とも思いますけどね。でも仕方ない。「上から目線」を装備されているともう、自動的にこういう風にせずにはいられないんです。癖ですね、へき。だって全部勝たないといけないからね。場を制圧するっていうんですか?

場を制圧って大袈裟な!ってお思いになられるかもしれませんけど、それは「上から目線」装備された者の宿命のようなもの。幼いころから特殊ギプスで養成されると、こうなっちゃうわけです。

そして本当に苦しかったのは、情報収集や俯瞰作業ではありませんでした。問題はこの「勝ちに行こうとする」Warumi自身です。すなわち、Warumiさまの思い通りにA~Dを操り、こちらが売りたい(というか、会社から売れ、と言われていた)旅行を売りつけることが出来る。これが勝利で、それ以外を認められなかった自分自身がどうにもならず、本当につらかった。

でもねー考えても見てくださいよ!20代のぴよぴよ新人セールスがね、自分よりはるかに年上のおじさま(が多かった)相手に、勝ちに行く!!とか?ちょっとアタマオカシイ?って感じですよね?そのおかしさは、顧客にもバレバレだったと思うです。しばらくすると、例のイケメン上司のもとに「あの子、だいじょうぶなの?」ってお客さんから連絡が入ったりするようになりました。地方都市って、情報がすぐまわるんですよね!やだやだ。

多分ね、情報量が足らない(場を読み切れてない)のに強引に契約を推し進めようとしたり、旅行や商習慣知識がないのに「わからない」って言えない(姫ってメッキでもプライド高いからね!)から、お客さまの疑問はそのままにしちゃったり(自分の情報収集で手一杯だった)。はたまた、場を読むことに命かけすぎて、肝心な旅行についてのヒアリングがすっこ抜けてたり!あちらから見れば「ちょっとほんとだいじょうぶなの!?」って思われても当然だったと思うんですよね~

それでもなんだかわからないけど、とにかく勝たなくちゃ!って思ってたんですよね。「上から目線」装備の兵士にとっては、勝てない=「死」でしたから、勝つ他、道がないんです。それなのに勝負の前から敵(顧客)から、我が上官に「お前のところの戦士はどうなの?」なんて言われちゃったりして、嗚呼、姫メッキマインドももう風前の灯火。

かくしてインパール大作戦と思しき決死のセールス大作戦が繰り広げられ、私は1年もたたずして出社拒否(嗚呼!)状態に陥ったのでした。やれやれ。

(つづく)