Warumiの柱

「こころミュージアム」のキュレーター。Warumiの「こころの魔法」研究報告です☆

サービス業の中で働いている人に起こりがち?な危機(その2)

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さて前回の続きです。

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①「燃え尽き症候群バーンアウト)」

②「人が好きなのに、人に傷つけられて心折れちゃう」

③「完全現場責任主義が重荷になって病む」

あくまでも私自身の経験ですが、この3つが代表的でした。そして前回ちょっと触れたように、この①~③が起こる背景には「環境」とその人の持つ「性格/資質のようなもの」が深く関わっているのだと思います。その関係性について、私が思ったことをお伝えしたいと思います。

①「燃え尽き症候群バーンアウト)」

この燃え尽き症候群。これはサービス業だけに限ったことではないかもしれませんね。しかしながらサービス業とは「マルチタスクが非常に必要とされる仕事」です。この業界に特異的なのは、とにかくまわりの状況を見ながら、自分自身がさまざまな仕事を同時にしなければならないことが多い、という点でしょうか。

旅行会社の例で言えば、AさんとBさんとCさんの旅行の予約を承っている。Aさんの飛行機が希望のものが取れなかったので、その旨連絡をしないといけない。代案の飛行機の手配をしている時にBさんから「予約したパック旅行の出発日を変えたい」とリクエストが入る。慌てて希望の日の空き状況を確認する。確認中に、更にCさんの予約したお宿の宿泊人数を変えたい、電車も一緒に変更ね!と営業マンが言ってくる。なんてのが、もう延々と続くわけです。

慣れと経験がある程度カバーはしてくれます。そのうちゲーム感覚になってきて、そのタスクをさばいていくのが快感!なんて時もあったりして。でも、やっぱり疲れるんです。非常に疲れる。疲れる上に、毎度お客さまの希望通りに何もかも手配出来ない、なんてことが起こるんですよね。それも頻繁にね。

「あーまた怒られちゃった~!今日はおいしいラーメン食べにいこ♪」と、けろっと出来る人は大丈夫です。しかし「ああ、Aさんの出張の飛行機手配、この前も失敗したんだった。。。」「ああ、Bさんの希望日はもう予約ができない。。。」「ああ、Cさんの電車の変更だけが出来ない。Cさんに電話もつながらない。明日からキャンセル料がかかっちゃう、どうしよう。。。」ってなあれこれが、他の仕事をしながらも脳裏を離れないタイプの人。さてどうしたらここから挽回できるだろうか、と常に頭がフル回転です。家でお風呂に入っていても、仕事を忘れられません。

こうやってタイピングをしてもミスがあるというのに!あの時代、予約手配は手作業がほとんどでした。自分では無意識のうちに、お宿と電車の手配の数を間違えてた、なんてことも起こる。それも大事なVIPの旅行に限って起こったりする!もう、どうしよう!という追いつめられ感と、ああ!よかった!何とか予約が取り直せた!みたいな安堵感と。毎日が特大のジェットコースターのよう。

そう。ひとつひとつの仕事の緊張感たるや、もう!なかなかの重圧なんですよね。自分のなかでうまく気持ちの調整が図れない、気持ちを引きずりやすい社員がその重圧を抱えたまま、マルチタスク仕事をし続けたとしたら。

それはもう、すぐに燃え尽きます。いとも簡単に燃え尽きちゃいます。とにかくやることが多すぎる。込み入っている。責任が重い。気持ちの切り替えが苦手だったり、小さいことにでも動揺しがちな傾向がある方は、この環境とバッティングすると相当おつらいことになろうかと思います。実際私も、ええ!何度も燃え尽きました。

一時、自分で立て直したとしても、その毎日が続き、自分の受け止め方が変わらない限り、後からどんどんボディブローのようにきいています。そしてある日突然、会社に行けない、なんてことになっちゃうわけです。

 

②「人が好きなのに、人に傷つけられて心折れちゃう」

お次はこちら。既に書きましたが、サービス業ってやっぱりね。人が好きだったり、人に何かをしてあげたかったり、という人が多かった。だから、仕事の真ん中は、常に「人」が占めていたように思います。

旅行会社の場合で言えば、旅行という商品に形はありません。それに、どこの旅行会社が手配しても、AホテルはAホテルなんです。そうなると、その旅行を売る「人のキャラ」が大切になってくる。もちろん会社の方針や、ルールはあります。ですが、この業界は旅行と同等に、それを売る人の個性、イメージのようなものがにじみ出やすい業界だったかな。所謂「愛されキャラ」的にお客さまにかわいがっていただいてなんぼ、みたいな世界でありました。実際、入社当時の上司は「士農工商・エージェントだ!それを忘れるな!」と言って憚りませんでした。

そういう職場環境の中で起こりがちだっったこと。それは「売るためには、愛されなくては!」とばかりに、お客さまの一挙手一投足に、過敏になる傾向だったかもしれません。サービスというのは目に見えない。そしてそれを良いと思うかどうか、はもう100%お客さまにかかってる。とにかく指標ってものは、いつも他人目線なんですよね。それを何とか探っていかないといけない。探った結果、自分がよかれと思ってしたサービスが酷評される、ということもよくある。もちろん褒められる時もありますよ。でも、だいたい怒られることが多いのが世の常です。

旅行はうまくいって当たり前。ちょっとでもミスしたり、お客さまの思い通りにならなければ、私、犯罪者?って勘違いするくらいの勢いで責められることもありました。そう、正確な手配はもちろん、その旅行をカンペキなものに仕上げるためには、お客さまの傾向や好みを熟知する必要がありました。

ってことはですよ、常に自分の意識は他人を向いているわけです。特に添乗時。もうひとりひとりのお客さんの反応が、気になって気になって仕方ない。あのお客さん、ちょっとむっとしてる感じだけど、お昼ごはんはおいしくなかったかな?道路が渋滞してるから、次の目的地の滞在時間を削らなくちゃ。でもオーガナイザーにそうお伝えしたら不機嫌になっちゃった、嗚呼!どうしよう!ってなことが頻発します。

海外ツアーなんてアテンドしたらもう、そんなのが1週間とか続くわけです。その間ずっと他人の表情、雰囲気を察知して、防ぐべきは未然に防ぐ。お客さんの気持ちの先回りをする。今は「感情労働」という立派なことばが誕生しましたが、ほんとにその通り。自分の感情を使って、相手に最大限のサービスをするんです。これは①にも③にも影響しますが、特にこの自分の感情を使うが故に、慣れないうちは、自分をむき出しにしてお客さまに差し出す、という極端なことをしてしまいがちです。

そしてこの「むき出し」の傾向は、ひとの気持ちを敏感に察知することに血道をあげて育った人。ここを直撃します。これがねー!ほんとに裏腹だと思うんですが、人の気持ちがよくわかるから、いいサービスも出来るんですよ。相手にちょっと先回りして、かゆいところに手が届くようなサービスが可能。しかし一方、人の気持ちを敏感に察知できるということは(無駄に)高性能のセンサーを搭載してるってことなんです。人のちょっとの気持ちの変化にすぐ気が付いてしまう。気が付いて、嗚呼!やっちゃった!とたいてい自分のこころをぐさっと刺されたように感じてしまう。人の気持ちを察知できる人って、繊細な人が多いですからね。そしてこれも大変疲れます。半端ないです。

これについては忘れられない話があります。添乗員をやっていた知り合いの話。ツアーて後でお客さまからアンケートを頂く時もあるんですよね。私の知り合いは優秀な添乗員で、アンケートの評判も上々だったんです。で、彼女がとあるツアーに添乗した際、感じのよいご夫婦が参加していらした、と。ツアー中、他のお客さまと一緒にとても楽しんでおられるように見えたし、都度、お声がけをした時にも特にお困りの様子はなかった、と。つつがなくツアーを終え、帰国した後に上司からお呼び出しがあったのは、なんとこのご夫婦からの苦情があったから、ということでした。アンケートには「こんなにひどい添乗員さんに当たったことがない。とても不愉快な旅でした。」と書かれていたそうです。

確かにね、とその知り合いは言ってました。自分が気付かなかっただけで、何かご不満があったのかもしれない。自分にはそれが見抜けなかった。旅は終わってしまっているし、今となってはどうにも出来ない、ただただ切ない、と。

そして彼女はそれからしばらくして、旅行会社を辞めました。もちろんこのことだけが理由じゃなかったと思います。けれど、辞めるきっかけになったことは確かでした。

私の知り合いが弱かった、至らなかったんだ、とか、お客さまがどうの、ということを私は言いたいのではないんです。ただサービス業、というのは得てしてそういう面を持っている。感情を使って働く人は、その感情にやられてしまうことがある。特にこころが敏感な人は、その敏感さ故に仕事は優秀だけど、その分傷つくことも多い。そしてものすごく消耗してしまう。

この点は、今このコロナの時代に医療機関で働く方や、一時期、荷物の配達をしていた方などにも通じるところがあるかもしれないですね。

 

(長くなったので、次回に続きます)

 

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