Warumiの柱

「こころミュージアム」のキュレーター。Warumiの「こころの魔法」研究報告です☆

プロのサービスにもっと元気を。

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これはもう、沢山の人がいろんなところで言っていることだと思うけれど、とにかくお客様向けの日本のシステムというものはスペシャルだ。

何というか、美は細部に宿る、といった感性が、仕事の仕方やお客様への満足度追及にものすごく反映されている。

「サービス」というものの概念に、何かこう、美意識とも言うべきもの。それが、お客さまがもう、見えなくなってもしばらく頭を下げてお見送りをする、だとか、食事をサーブする時のきめ細やかなお作法(どの側からどの位置にお皿を出す、とか)に、宿っているように思う。

海外からの友人知人を日本で案内する度、行く先々で彼らに驚かれた。どうしてホテルのスタッフはエレベーターの前であんなに深くお辞儀をしてくれるのか、ひとつのお菓子を買うだけでわざわざお店を出るところまで、店員さんが商品を持って出てきてくれるのか、とか。

まさにWHY JAPANESE PEOPLE??感満載である。

で、ですね。最近、何かこう日本式のこういった「おもてなし」をする方々に、一種のもの悲しさのようなものを感じてしまうようになったのは、単なる私の偏見だろうか。。

ちょっと前まで、このような「日本式おもてなし」を提供されているスタッフの皆さまは、今とはちょっと違う雰囲気を持っているように見えた。それはもちろんお客様のことを第一には考えているのだけれど、そういったプロのサービスが出来る自分自身、というものに矜持がある感じ。自分がそんな上質のサービスを提供出来ることに自信を持って、ちょっとキラキラしてる感じもある。

上質のサービスって、例えばマニュアルがあるからその通りにやれ、と言われて出来ることではない。「お察し力」というものは一朝一夕には身に着かず、ある程度の時間と訓練を積み、更にお客様にいろいろ揉まれて出現する能力なのだ。

だから、いくら素晴らしいマニュアルがあっても、マナー講師が口うるさく啓蒙しても、天性のものを持っている人は除いて、普通は色々苦労する。私の話をすれば、幼いころからの英才教育で培った「お察し力」は人並み以上に持っていたと思う。けれどそれを実際のお客様へのサービスへ還元するまでには、お客様の中で育てられる経験が必要だったように思う。

で、だ。最近、これも私の偏見なのかわからないけれど、サービスの内容や、満足度を(くだらない)アンケートで「数字化・見える化」している所ってやたら多くないですかね?

私はこれが、現在のサービス提供者をもの悲しくさせている元凶じゃないかって思うのだ。

というのが、ですね。サービスってひと口に言っても、お客様に満足して頂く、といのはマニュアルの型どおりではなかなか難しい。お客様の感性は人それぞれで、ある方は「そこまでケアしなくてもいい、むしろ放っておいてくれ」と言い、また別の方は「もっと声をいっぱいかけてほしい」と言う。このような違いを見抜いて、お客様それぞれに沿うような対応をすることが必要とされる。

それだけではない。限られた時間の中で、出来るだけその見立ての上に微調整をはかっていく。上質なサービスとは、見立てと実践、そのトライ&エラーの積み重ねの上に成立するものだからだ。

そのトライ&エラーをするための目印。これが重要だ。つまり、お客様の反応である。反応なくしては、上質なサービスの提供は難しい。相手の反応を確かめつつ、サービスの精度を上げていく。

こんなお客様とのやり取りが、無味乾燥なアンケートで一刀両断に判断される。またサービスを受ける側のお客様も、とかくこういったアンケートの質問にあるような観点からサービスの質を判断しがちになる。

そこには生の人間同士のやりとりはなく、マニュアル化された評価システムの下で画一化されたサービスしか存在しなくなる。そう、つまらないサービス。

そんな限定された中でのサービスでしか評価されないなんて、サービスのプロにしてみれば窮屈で退屈に思われるんじゃないかと思う。もっと繊細な世界の話なのに、大味の人工的な味付けでよし、とされる世界。

加えて、最近はすぐキレるお客様も多いと聞く。上質なサービスには微調整ってものが必要なのだ。プロのサービス提供者は、プロだけどエスパーじゃない。最初から全てのお客様の望みは100%わからないし、やり取りの中でそれを詰めて微調整していくのが、プロとしての腕の見せ所。けれど、そのやり取りを拒否し、いきなりキレてしまうお客様に対しては、怒らせないための防衛的なサービスしか出来ない。

それはサービスのプロの方には本当にお気の毒、、、としか言い様がない。プロの実力をぜひ、拝見したいじゃないか。私がお客の立場だったら、プロの方とのやり取りの中で徐々にボルテージ高くした魔法をかけてほしいって思う。

このご時勢、サービス業の皆さまにとっては逆風なんて言葉じゃとても足りない状況に陥っている。なんとかして頑張って頂きたい、とちょっと暗くなるようなニュースを聞く度に思うのだけれど、同時に、プロのサービス提供者の皆さまには存分に手腕をふるって頂きたい、ふるって頂く機会をたくさん作ってほしい、と心から思う。

サービスって一方的なものじゃなくて、提供者とお客様との間の粋なやりとりでどんどん洗練されるものだって思っているから。

そんな風にサービスされることを楽しむ人が少しでも増えたらいいな、と思う毎日だ。

 

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